【一戸建て】いまどき「雨戸」は必要なのか?

2008年に建てた「我が家」の設計〜建築時のエピソードや、住み心地を振り返る記事です。新築・リフォーム時の参考にしていただければ嬉しいです。

一戸建ての我が家(2008年竣工)には「雨戸」が付いていません。

最近は雨戸のないお宅が多いですよね。建築時も深く考えていなかったのですが…10年近く住んで「あったほうがよかったのでは?」と思い始めました。

生まれ育った実家には木の雨戸がありました

結婚するまで住んでいた実家には、木の雨戸がありましたが、10年前(2008年)に建てた今の家には雨戸がひとつもありません。
実家の雨戸は、戸袋に収納される木のタイプのものでした。実家に似た雨戸の写真はないかな。。と検索してみました。

そうそう、こんなかんじです。懐かしい!!!

雨戸 戸袋タイプ引用元:https://www.homepro.jp/jirei/B92339.html 

日が沈むと、母や祖母ががらがらと閉めていました。
こどもの頃、手伝ってみると重いうえに滑りが悪くて、なかなか閉まらなかったことを思い出します。

結婚後の新居には、シャッター式雨戸がありました

結婚して住み始めた賃貸住宅では、シャッター式の雨戸がすべての窓に付いていました。

「雨戸 シャッター」で画像検索してみるとたくさん出てきます。電動式の多機能なものもあるんですよねー。

雨戸 シャッター

実家の「木の雨戸」に比べてなんと時代が進んだことか!と感動したことを思い出します。

金属ですから、夏場はすごく熱くなっていましたね。とくに西とか南とか。木のほうがまだましだったかな。

今住んでいる家には、雨戸がひとつもありません

そして、10年前(2008年)に一軒家を建てたのですが、今の家には雨戸がありません。ほんとに一枚もないんですよ…

雨戸のない窓

「雨戸がない家」になった理由

我が家は希望に添って設計してもらう「自由設計の家」でした。

自由設計といっても「完全に自由」なのではなくて、ある程度建築会社側が定めている「しばり」みたいなのがありまして。言い換えると「標準仕様」ですかね。

例えば「水回りのメーカー・製品はこのなかから選んでくださいね」みたいなものです。

我が家は「かなりゆるい設定のしばり」、つまり、選択肢がかなり多くあるなかから選んで決めていくことができる家づくりでした。

「しばり」があるというと「制約のある家づくり?」という印象を受けますが、ある程度のしばりがないと、知識のないふつうのひとが家を建てるってむずかしいです。
「なぁんでも、どうぞ!」
と言われても、どこからどう決めていのかわからないものです。

具体的なイメージが明確で、そのイメージが現実可能な場合ならできるかもしれませんが…。

我が家の場合、そのゆるいしばりの中のひとつに

「1階の窓(腰窓以上の大きさ)には雨戸が付く。2階の窓には付かない」

というのがありました。

「腰窓」で画像検索。腰のあたりからはじまるから腰窓?

腰窓 検索結果

夜間や長期不在の際の防犯を考えると、腰窓以上の大きさの1階の窓には雨戸があったほうがよい、ということなのでしょう。

もちろん、これはベースであって、ここからの変更は可能。

標準仕様で付かないと決まっているところに付けたい場合は、追加料金が発生するわけですね。

我が家、決定した間取りには1階に腰窓以上の大きさの窓がありませんでした。雨戸が付かないタイプの、小さい、「滑り出し窓」しか付かないことになったんです。

滑り出し窓で検索してみると、いろんな窓がありますね。我が家に多いのは「たてすべり出し窓」です。

窓のバリエーション

引用元:https://tostem.lixil.co.jp/lineup/bldg/sash/pro-se/outline/hiraki.htm

2階には、掃き出し窓が何枚かありますが、提案どおり雨戸が付いていません。

「掃き出し窓」で画像検索してみました。ほこりを掃き出せる、床までの窓のことですね。

実際はレールがあってうまく掃き出せないものですが…

掃き出し窓 検索結果

「雨戸」。あるのがいいのか、なくてもいいのか

「雨戸なし」のメリット。なるほど、と思うことがいろいろあります

「雨戸がないって、どうなんだろう…大丈夫かな?」

これまでは当たり前のようにあったものを付けないというのは、ちょっとヘンな気持ちになったり、勇気がいったりするものです。

これに対し設計担当者さんは、もちろんご希望によって付けることはできますが、といいながら、「雨戸を付けないメリット」を教えてくれました。

  • 外観の見た目がすっきりする
  • メンテナンスの手間や費用が省ける(経年劣化による交換、汚れやホコリがたまる、戸袋に蜂の巣ができる!など)
  • 窓を大きくすることができる(上部にシャッターを格納するスペースをつくらなくてもよい)
  • 間取り設計の自由度が大きくなる(戸袋タイプの雨戸の場合、窓の横に戸袋ぶんの空間が必要)

これまでを振り返ってみると、2階部分に雨戸が必要だったか?というとそういうわけでもありませんでした。確かに1階は使っていましたが、2階の雨戸を閉めたのは、帰省や旅行で不在にしたときぐらい…?

「2階から侵入されるようなことはまず難しい間取りだし」
「ここの窓は大きくとりたいし」
「ここで追加費用が発生するのは避けたいし」

というわけで、我が家は2階の雨戸なしとなりました。

〜そして10年がたちました〜

この10年、「やはり付ければよかったかな」と思ったことはありませんでした。長期不在の際はダブルロックをかけてカーテンを閉める。雨戸がなくても全然大丈夫。これでじゅうぶんだったのですが…

10年目に、はじめてやってきたのでした。
「付けておくべきだった!」と思うことが。

「雨戸なし」最大&最強のデメリットを10年目に思い知る

それは、自然災害。
台風です。

2018年9月上旬の台風21号で、我が家にちょっと恐ろしいことが起こりました。
飛来物が襲ってきたんです。

毎回、台風が通過した地域にはそんな経験をされた方がいらっしゃるのでしょう。我が家はこれまで「まさかうちが」状態だったわけですが、「うちにかぎって」なんてことはないわけです。

幸い、窓が割れるなどの大きな被害にはならなかったのですが、
「これが窓に当たらなかったのは、不幸中の幸いだったのかもしれない」
と思うような、ギリギリの恐怖を味わいました。

実際、飛来物が窓を突き破って部屋に飛び込み、それに当たってお亡くなりになった方がおられたようです。

午後2時半ごろには、大阪市港区のマンション8階で70代女性が死亡。港署によると、飛来したスレート材が窓ガラスを突き破り、破片などがあたったためとみられる。同じマンションの住民らによると、このころ吹き飛ばされた屋根やシャッターが屋外で舞っていたという。

引用元:マンション8階の室内に飛来物、女性死亡 牙むいた暴風(朝日新聞デジタル)

もし、我が家に雨戸があったなら

雨戸を閉めて台風が過ぎるのを待つことができたなら、少しは気も紛れたでしょうし、万一、飛来物が雨戸に当たっても突き破って部屋に飛び込むことはまずないでしょう。

今回のことは「めったにないこと」かもしれません。

でも、わかりません。

最近の自然災害の規模、頻度を見ていると、いつ、なにがあってもおかしくないような気がします。
一度経験すると、またあるような気もしてきます。

「50年に一度」の台風だったのだから、次50年は大丈夫?

いやいやいや、それは誰にもわかりません。

長く家族が暮らす家なのだから、安全に暮らせるということを重視したほうがいいのかもしれない。
大きい窓がつくれるという開放感より、
外観がスッキリするというような「見た目」より。

そう思います。

もし、「今」家を建てるなら…

もし、私が今家を建てるとしたら、すべての窓に雨戸を付けるような気がします。
1階も2階も。
追加費用が発生しても。

このあたりは本当に人それぞれ(家族それぞれ)で、これまでにどんな経験をしてきたかで考え方が変わります。これは当然のことですよね。

我が家の周囲には同時期に同じ会社が建てた家が50戸ほど集まっていますが、「雨戸」についてはそれぞれ(もちろんそれ以外も)。

<雨戸付けてる派>

  • 2階にも付けている
  • ちいさな窓にも付けている
  • 戸袋タイプで統一している・シャッタータイプで統一している

<雨戸付けてない派>

  • 1階の掃き出し窓にも付けていない

親しいご近所さんは、

「2階にも雨戸を付けたいと言ったら担当のひとに
『いまどき2階に雨戸付けるひとなんていませんよ』
って言われたのよねー」

と言っていました。
担当者のキャラクターや話の流れによっても、たどりつく結果はいろいろなのでしょう。

「台風対策」以外の雨戸のメリット

雨戸は付けてしまえば「防犯」「防災」以外にも役にたつように思います。特に夏に重宝しそうです。

  • 夜、目隠ししつつ少しだけ開けて風を通す
  • 強い日光を遮って冷房効率を上げる

などですね。

とはいえ、確かに「雨戸の付いていない外観のスッキリ感」もいいんですよね…特にデザインにこだわるなら、雨戸が付いているときっと台無し!と感じることもあります。

そういう場合は、「雨戸なし」のデメリットを他でカバーすることを、設計段階から考えておくべきかもしれない、と思います。

街にはリアルな事例があふれています。「おさんぽ観察」おすすめです。

自転車で買い物に向かうとき、ウォーキングしているときなどに何気なく民家を見ていると、本当にいろんな窓+雨戸があることがわかります。
建った年代によってもずいぶん違うんだなぁということもわかります。

劣化するとこうなるのか、とか、後付けするとこうなるのか、とか。

この先、家を建てる(買う)予定のある方は、観察しておくととても参考になると思います。

もちろん、ネット上にもヒントはあふれていますしね!

関連リンク

開き・すべり窓群(リクシル商品ページ)

マンション8階の室内に飛来物、女性死亡 牙むいた暴風(朝日新聞デジタル)

My Midcentury Scandinavian home 〜北欧ミッドセンチュリーの家〜

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